神経科学研究者のブログです。科学、教育などに関する雑多な私見、主張など。
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NFTと学術に関する読み物:入門サイト

7/1にサンメディアさんのセミナーで、NFTと学術に関してのセミナーを行いました。 そのまとめです。 NFTと学術に関して理解するための入り口となるようなサイトをまとめてみました。 Web3は科学を救うか 資金調達や情報共有、海外で始動 (日経、2022年6月16…

昨今の学術発表を考える(その2)学術発表とNFT?

今回は今話題のNFTについて書いてみたいと思います。 わたしの関心の高いこととして、キーワードとして「バイオ」「学術出版」「NFT」ということになると思います。したがって、NFTをめぐる投資とか、デジタル芸術作品とか、メタバースとか、そういうところ…

昨今の学術発表を考える(その1)捕食的?

わたしが研究を始めたころは、論文投稿となると、論文原稿を封筒にいれて、海外郵便で送って、査読結果も郵送で送られてくるというような時代でした。ピアレビューによる査読システムというのも、実はそんなに歴史があるわけではなく、1980年代に確立された…

ポスドクとは何か?(日経記事の誤り)

今回は、「ポスドクPostdoc」問題についてです。 ネットでは、日経などで紹介される「ポスドク」の定義がおかしいということが、いつも話題になります。 「博士号の取得後、大学の教員になれず企業にも就職できない「ポスドク」問題が指摘されている。」 Goo…

オープンアクセス雑誌の掲載料金比較

オープンアクセス雑誌(バイオ系)の掲載料金について、Twitter上で関心が高かったので、代表的なものだけについて、まとめリンクサイトを作ってみました。他に載せるべき雑誌やコメントがありましたら、このページの一番下に「コメントを書く」欄があります…

2030年に研究者のいる世界はどうなっているか?

年始ということですが、今年は2020年、つまりDecadeの始まりです。そこで、今回は、2030年に私たち研究者のいる世界がどうなっているのか、私なりに予想してみたいと思います。 1)生物学は数理科学になる 理系の中でも、これまで生物学を学ぼうとしてきた…

研究者が考える研究と研究業界の常識:でも理解されていないこと

ちょうど1年ほど前に「日本の「選択と集中」の何が問題なのか(図)」というブログを書きました。 図の再掲です。 この時は図だけで、本文がありませんでした。その後、本文を書こうと思っていたのですが、時間が取れず、そのままになっていました。最近も「…

新学期にあらためて考えてみよう

新学期です。 人口が少なくなり、高齢化が進み、福祉ばかりにお金が必要になり、未来志向の科学技術や教育に取り組めなくなって、イノベーションが少なくなる。 これが縮小を続ける日本の現状であるのは多くの方が認めるところだと思います。 一方で、このよ…

2018年の読書(その3)人工知能

「 2018年の読書(その3)人工知能」 をこちらにアップしました。

2018年の読書(その2)ノーベル賞、脳、進化、そして今

2018年の読書(その2)ノーベル賞、脳、進化、そして今 は、こちらの方にアップしました(下をクリック)。 masahito-yamagata.hatenablog.com

2018年の読書(その1)善意と詐欺

2018年も終わろうとしています。今年、私が接した英語の本の中から、印象に残ったものを、いくつか選んで紹介してみたいと思います。 今回は一般本、次回は科学関係の本を取り上げます。 (1)善意とは何か?Educated: A Memoir Tara Westover (著) この著…

脳科学研究に感じるフラストレーション

ガチ議論「脳科学は次の10~20年に何をどう目指すべきか?」に私の意見を投稿しました。 脳科学は次の10~20年に何をどう目指すべきか? | 【帰ってきた】ガチ議論 「世界の脳科学」を意識するということは、それを承知した上で本質的なことに取り組むとい…

あなたはインパクトファクターで選ぶのか?

2年ほど前に、「公的組織はインパクトファクターを利用するな」というブログを書いたところ、このブログ記事へのアクセスが今でも非常に多いのです。どうも、「インパクトファクター」というキーワードでWeb検索すると見つかってしまうようです。 今回は、そ…

衰退する国の教育を憂う:卒業する娘への父からの手紙

このブログは、科学研究だけでなく、私の大きな関心の対象でもある「教育」も語るという目的で始めたのですが、自分自身が教育に関わっていないということもあって、あまり書く機会がありません。昨今、日本では、金銭ばかり気にして、大学教育や研究体制を…

日本の「選択と集中」の何が問題なのか(図)

文章は、後日アップします。 日本の「選択と集中」の特徴 理想的な「選択と集中」 日本にはびこるオールドエリートの構造的問題 「ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち」 から引用。

研究者諸行無常

成功した方々のコメントもよいが、消えていった若手研究者の声も聞いてほしい。日本生化学会 » 若手研究者に聞く-奨励賞受賞者からのコメント- https://t.co/g7LwtXf7Mw — 山形方人(nihonGO) (@yamagatm3) 2018年2月27日 というわけで、「わがまま研究者」…

コラボのススメ

MITがAI研究に全力、学部横断で新技術開発へ The MIT Intelligence Quest | MIT iQ 米国の大学というのは、学内の共同研究プロジェクトにお金を出して支援することが非常に多いと思います。日本の大学にも、こういうのはあると思うのですが、あまり盛んでは…

バイオ系プレプリントサーバを利用してみた(その2)

前回は、「バイオ系プレプリントサーバを利用してみた(その1)」として、バイオ系プレプリントの最近の状況について説明してみました。 今回、たまたま論文原稿ができましたので、私のボスと相談して利用してみました。ボスは、科学論文では、Cell, Neuron…

バイオ系プレプリントサーバを利用してみた(その1)

2017年のSCIENCE誌「Breakthrough of the Year」の一つに、「Biology preprints take off」というものが入っていました。 http://vis.sciencemag.org/breakthrough2017/finalists/#bio-preprints 1年半ほど前に、「バイオ系のプレプリントサーバ (こちらをc…

私の留学記(追記)個人と社会

私は米国に来て長く経ちます。これまでの米国での研究生活を振り返るのも悪くなかろう、ということで初心に帰るつもりでそんな文章を書いてみました。世の中では、いわゆる「成功者」の話というのは、メディアや大学の広報など、あちこちで見かけます。ある…

此頃ハヤル物

年の瀬です。「此頃都ニハヤル物、」で始まる「二条河原の落書」というと、建武元年(1334年)、二条河原で話題になったという日本史では有名な史料です。 原文から。https://ja.wikipedia.org/wiki/二条河原の落書 =======================================…

日本のバイオ系研究者リーダーの劣化問題

今年は、去年から問題になっていた東京大学分子細胞生物学研究所のW教授の研究不正についての公式の見解が発表されました。また、年末になって、名古屋大学からの「ディオバン論文」の問題が、再調査の結果、論文撤回勧告という報道を見かけました。これらの…

ネガティブな評価

[神経科学者SNSより改変] 例えば、Aという国の産業が発展していないというネガティブな評価があったとする。こういう場合、発展していないという悪い評価をされたAという国にお金を援助する。そういうことで、その悪い評価を良い評価に変えようとするという…

従うより不服従

[神経科学者SNSより改変] 今日、気になった記事。東大総長だった小宮山宏さんが書いた文章です。おそらく、編集者の手がかなり入っているのだと思いますが、主張したい論点は保たれているのでしょう。三菱総研の理事長、東大の元総長という立場の人の言葉と…

何のために論文を発表するのか

[神経科学者SNSより] 研究者は何のために論文を発表するのか? 私の知っているある研究者は、 「出世するためだ」と答えました。したがって、その「何のために」を議論することは無意味である、ということでした。 先日紹介した野依さんの文章から。 http://…

"女性脳"と"男性脳"の危うさ

[神経科学者SNSから] このブログの更新が滞っています。 「神経科学者SNS」の方では、毎日欠かさず日記を書くことにしているのですが、一般に公開されていないSNSの内容は、短時間に気軽に書いているため、文章がいい加減で、外に見せることができない。更に…

「問題意識」の答え

[神経科学者SNSより] 今日は、たまたまなのでしょうが、2人のノーベル賞受賞者の意見を見かけました。 「50年の研究生活から想う基礎科学研究」-大隅基礎科学創成財団主催の財団創設記念セミナー(10月18日)での講演から 東京工業大学栄誉教授・大隅基礎科学…

Marderさんのエッセイ

[神経科学者SNSから] ブランダイス大学のEve Marderさんの記事。SfNの元会長であるMarderさんは、eLifeのエディターの一人なのですが、その関係で、eLifeにエッセイみたいな文章をシリーズで書いておられる。これはそれを一覧にして、まとめたようなページで…

研究力の「厚み」

[神経科学者SNSより] 昨日見かけた記事。神経科学者、小泉周さんらの研究チームについての記事です。 文科省の科研費チーム、大学の研究力を「厚み」で評価する新指標-中間層の論文に着目 https://newswitch.jp/p/11050 この文科省のページの資料4.1などに…

研究者とメンタルヘルス

「私は教室の若い人に優れた研究者になるための6つの「C」を説いている。すなわち、好奇心 (curiosity) を大切にして、勇気(courage)を持って困難な問題に挑戦すること(challenge)。必ずできるという自信(confidence)を持って、全精力を集中(concent…